医療 社会福祉 経済

医療や介護、年金などの社会福祉政策と経済との関係は、国家の根本にかかわる大きな問題です。また、高齢化と経済成長の鈍化が見られる先進国に共通の難題でもあります。制度をどのように改革すべきか考えましょう。

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情報の非対称性-医療の市場化3

 次の大きな問題は、医療者と患者あるいは保険者と加入者など、関係者間の情報量の相違です。これは、情報の非対称性と呼ばれており、取引の片方が、もう一方よりも多くの情報を保持している場合には、情報を多く持つほうが有利になって、取引が非効率になることがわかっています。

 通常の場合、医師や医療機関は、問題となる病気や治療法などに関して患者本人よりも多くの情報を持っています。このため、市場原理のもとでは、患者が不利益をうける可能性があります。あまり有効でない投薬や検査が行われたり、必要だが手のかかる治療が行われない、などが起こりえるということです(モラルハザード)。市場原理から言えば、医師は合理的な行動をとっているにもかかわらず、患者が不利益をうけるわけです。

 こういう現象が起こったり報道されたりすると、患者は医療機関を信用できなくなるので、医療機関に対する評価が下がります。つまり、医療機関は実際の価値よりも過小評価されるわけです。その結果、必要があっても患者が受診をしなくなったり、まともな医者が転職してヤブ医者だけ残り、最終的にはシステムが機能しなくなることがあります。
 また、民間保険会社が加入者の健康状態を全く知らずに医療保険に加入させると、病気持ちばかりが集まって、想定よりも保険料の支払いが増えて保険が破綻してしまうことがあります。

 これらの現象を逆選択(adverse selection)あるいは逆淘汰と言い、情報の非対称性によって起こる重大な問題の一つです。

 また、一旦保険に入ってしまうと、事前の想定よりもリスクが現実化しやすくなる、という保険者-加入者間のモラルハザードも起こります。医療保険に加入すると健康状態に留意しなくなり、病気になる確率があがる、ということです(わざと病気になるのではなく、合理的な行動の結果そうなる)。また保険に」入っていると、軽い病気でも医療機関を受診しやすくなる、という現象もモラルハザードの一種です。これらも、保険者よりも加入者の持つ情報量が多いことに起因しています。

 医療者と患者の情報量の格差に対する対策として、次のようなことが行われています。
 1. 医師ができるかぎり複数の治療法を提示し、患者が選択できるようにする(SDM)。
 2. 医師に示された治療方針について、患者が他の医療機関の意見を求められる制度(セカンド・オピニオン)。
 3. 第三者による医療機関の評価。

 保険者と加入者間の情報の非対称性に対しては、加入者がなるべくランダムに選ばれるようにしたり、審査を厳しく実施するなどの方法があります。

 モラルハザードに対しては、保険で損害の全額を補填せずに、一部を自己負担させる方法(免責)が一般的です。

 しかしながら、このように様々な対策がとられても、情報の非対称性を完全に解決することは難しいのが現実です。
 
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テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

  1. 2007/10/24(水) 22:03:18|
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